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2005年 郵政民営化選挙 後援会

父の出馬に関して、後援会の方々のご意見を聞くためのミーティングが事務所の二階で開かれた。

私は二階の一番後ろに席をもらって話を聞くことにした。とりあえず沢山の人が来てくださったこと、そして思っていたほど雰囲気がとげとげしくないことにまずは安堵した。


まず体格のいい男性が挙手をして立ち上がると、すぐさま雷のような声でまくしたてた。

「我々はどうすればいいんですか、先生。 一言仰ってください!●●市はやります!先生のために懸命に働きます。」

応援してくださっている。そう思うと体が熱くなるほど嬉しかった。次にこんな意見もでた。

「先生は人より早く郵政民営化法案の欠陥が見えてしまった。だからそのような行動をとられたのですよね。」


最後に、ずっと静かに後ろの方でまわりに意見を聴いていた上品な女性の支持者の方がたまりかねたように手をあげて、震える細い声でこう言った。

「先生、なぜ私らの意見を聞くなんておっしゃるんです。どうして『俺はやるんだ』と一言おっしゃって下さらないんです。先生、私達は先生のお心ひとつなんです。どうかおっしゃって下さい、おれは出るんだって。」

その女性の、まるでしぼりだすような悲痛な訴えに、それまでの騒ぎはうそのように皆、しんと静まりかえってしまった。

誰もが固唾を呑んで、ただ一人、父の答えを待っていた。

父は黙っている。

後ろで聞いていた私は、この女性の言葉を聞いて心が刺されるような思いだった。選挙区のすみずみにまで、はりめぐらされていた父のポスターが浮かんだ。たくさんの若い支持者に訴えるための葉書。

早朝からの挨拶まわり。父はこの選挙に全てを賭けていたのだ。

どうして父がこの選挙に出たくない、などということがあるだろうか。

誰よりも父こそが、この選挙にでたいのだ。

そしてなぜ自分が郵政民営化法案に反対しなければならなかったのか、この選挙の場で訴えなければいけないのだ。そのためにはこの選挙しかないのだ。

岡山2区での勝ち負けなど父には問題ではなかった。父の言葉を借りれば「正々堂々と戦う」ことこそが父の生き方なのだ。

私は思わず一番後方から手を上げて、「やります、父は出ます」と叫びたくなるような衝動に駆られた。


父は最終的にとうとう口を開いた。

「いろいろなご意見をご参考にした上で決めさせて頂きます」

一瞬でその場の緊張がふっとゆるんだのがわかった。

父の口調は丁寧で、そして心がこもっていたものだったが、張り詰めて父の決断を待っていた後援者の方々はため息をついた。

会は終了した。人々はがやがやと「まだ決めとらんのじゃ、決めとらんのじゃ」といいながらバラック建ての階段をにぎやかに下り始めた。


階段の下ではメモを片手に大勢の取材陣が待ち構えていた。

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